「土地を所有しているがどのように活用すればよいのかわからない」とお悩みではないでしょうか? 土地活用とは、あまった土地に建物を建築したり、駐車場を整備したりすることをいいます。
土地活用にうまく取り組めれば、少ない労力でも収益が得られる可能性があるのです。
そこで本記事では、土地活用方法5選について特徴をお伝えします。メリット・デメリット、向いている土地、節税効果などについて解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
土地活用を始める前には、まず所有している土地の「用途地域」を確認しましょう。 用途地域によって、建築できる建物が異なるからです。土地にはそれぞれ用途が定められており、土地計画法に基づいて「住居系」「商業系」「工業系」に大別されています。 さらにそれぞれ細分化され「建築可能」「不可」「一定の条件にて可能」といったように、定められているのです。
たとえば、住居系における「第二種住居専用地域」では宿泊施設の建築が可能でも、「第一種低層住居専用地域」ではできません。 土地活用を始める前に、所有する土地の用途地域において目的の建物を建築できるかどうか、知っておくことが大切です。
ここからは、土地活用方法5選をご紹介します。 メリット・デメリット、向いている土地、節税効果について解説していきますので、ご自身が所有する土地で取り組む場合の参考にしてください。
駐車場経営とは、所有する土地に駐車場をつくり顧客に駐車スペースを提供し、利用料金を得る土地活用方法です。 駐車場経営には「月極駐車場経営」と「コインパーキング経営」の2種類があります。
月極駐車場経営の仕組みは、1ヵ月単位で駐車場を貸し、その分の利用料金を収入とすることです。駐車場を長期的に利用したい顧客がターゲットになり、一度契約できれば長期で安定した収入が得られます。
コインパーキング経営は「1時間〇〇円」のように、駐車した時間に応じた利用料金が収入となります。駅・店・施設などの近くに多く、外出先で一時的に駐車しておきたい顧客がターゲットです。
また、駐車場経営には大きく分けて以下3つの方式があります。
それぞれ費用、収益性、手間などが異なるため、ご自身に合った経営方式を選択するとよいでしょう。
駐車場経営のメリットは以下のとおりです。
建物を建築するわけではないため初期費用が少なく、撤去にかかる費用も抑えやすいメリットがあります。また、住宅には不向きな狭小地や変形地でも、駐車場経営なら有効活用しやすいのも大きなメリットです。 駐車場として土地を活用したあとに、撤去して別の方法に切り替えたいと思えば、比較的容易にできます。
駐車場経営のデメリットには以下のものがあります。
アパートやマンションのように大きな収益は期待できません。また、想定よりも空車が多ければ収益は下がってしまいます。 よくある失敗は、ニーズに合わない土地で経営したり、稼働率を高く見積もりすぎたりすることです。平日と土日では空車率が異なりますし、一日の時間帯によっても変わってきます。 稼働率を高く見積もりすぎると想定よりも少ない収益にがくぜんとすることもあり、注意が必要です。
駐車場経営に向いている土地は以下のとおりです。
「駐車場を使いたい」と思う人が訪れる土地が、向いている土地です。 すなわち、土地が狭く周辺に駐車場がない施設や観光地、自宅に駐車場をもたない方が多い住宅地などが該当します。 土地の広さは、最低でも車1台駐車するのに必要な4坪程度があればよいでしょう。
駐車場経営には基本的に大きな節税効果がありません。 駐車場は更地として扱われるため「住宅用地の特例」のように、固定資産税が安くなることがないからです。 節税目的で駐車場経営をはじめても失敗してしまうため注意しましょう。
コインパーキング経営については以下の記事で詳しく解説しています。
初期費用がコインパーキング経営は何故安くて済むのでしょうか?
アパート経営は、所有しているアパートの部屋を賃貸し、入居者からの家賃収入を得る土地活用方法です。 始めるにあたって特別な資格は必要なく、初めての方でも無理なく取り組める事業といえます。サブリース(一括借り上げ方式)を利用して、管理やメンテナンスを委託する人も増えています。
アパート経営のメリットは以下のとおりです。
アパート経営のメリットは、景気の影響を受けにくいため、つねに一定のニーズがあるといえます。また、初心者でも比較的取り組みやすい経営であり、土地活用方法として人気があります。 とはいえ、アパート経営も事業のひとつですから、経営ノウハウがまったくなければむずかしいと思う方もいるでしょう。 そんな方でもサブリースを利用すれば、わずらわしい管理業務が必要なくなります。入居者の募集や入居賃料回収など一連の業務を代行してくれるため、入居者を確保できなくともオーナーは賃料を得られます。
アパート経営のデメリットは以下のとおりです。
アパート経営では初期投資が高額になります。 構造によって坪単価が異なり、木造では77~100万円程度、鉄骨造で80~120万円程度です。
では、アパートを建築した場合の初期費用を以下の条件で見てみましょう。
「70~100万円×7坪×8部屋=約3,920~5,600万円」 となります。 上記はワンルームの想定ですが、間取りや階数が増えれば、より費用は大きくなることがわかります。 初期投資が高額になるため、手元に資金がない場合はアパートローンによる融資を検討する必要もあり、金銭的なハードルが高いといえるでしょう。 ニーズの分析も重要であり、上記のように多額の初期投資を投じても、ニーズに合わない土地では家賃収入が見込めないことも考慮する必要があります。
アパート経営に向いている土地は以下のとおりです。
駅から徒歩圏内であれば通勤・通学が便利になり、さらに都心に通勤しやすいとよいでしょう。 徒歩圏外だとしても「買い物や通院がしやすい」「騒音や災害が少ない」「繁華街や風俗店がない」など、住環境のよい場所は向いている土地といえます。 また、土地の広さが60坪以上あるとよい理由は、25平米のワンルームであれば8部屋経営でき、安定した収入が見込めるからです。 郊外でアパート経営を考えるのであれば、駐車場のスペースを考慮し80坪以上あると、なおよいでしょう。
アパート経営では相続税、固定資産税・都市計画税、所得税の節税が可能です。 相続税は、土地を現金で相続した場合、その金額すべてが課税対象となります。 アパート経営では建物があることで現金よりも2~3割ほど安く評価されるため、節税になるのです。 固定資産税・都市計画税は、土地・建物それぞれに軽減措置を受けられます。小規模住宅用地で課税標準の1/6、一般住宅用地で1/3になります。 また、建物の減価償却や青色申告特別控除によって不動産所得を減らせるため、結果として所得税の節税にもつながります。
アパート経営と同様に、部屋を賃貸して入居者からの家賃収入を得る土地活用方法です。 資産運用のひとつとして、20~30歳代からマンション経営をはじめる会社員の方などもいます。
マンション経営のメリットは以下のとおりです。
土地の広さが限られていても、高層マンションを建築できれば部屋数を増やせるため、空室リスクを分散できるのがメリットといえます。 また、建物自体の性能にひかれて高めの賃料でも入居を希望する顧客を集めやすいため、安定した収入が得られるでしょう。
マンション経営のデメリットは以下のとおりです。
アパート同様、建築にかかる初期費用は高額になります。部屋数が多くなれば維持・管理費や修繕費も増えるため、ランニングコストが高くなることも想定しなければなりません。
マンション経営に向いている土地は以下のとおりです。
高層になるほど部屋数を増やせるため、用途地域が高層マンションの建築に適合しているとよいでしょう。 また、利便性も考慮し通勤・通学しやすい土地がおすすめです。
アパート経営と同様に相続税、固定資産税・都市計画税、所得税の節税が可能です。
賃貸併用住宅とは、一軒の建物が「自宅用」と「賃貸用」に分けられている住宅のことです。 最大の特徴は、自分で家に住みつつ入居者に賃貸するため「住みながら家賃収入を得られる」点です。 また、土地の広さ・家族構成・生活スタイルなどに応じた間取りで建築できるため、たいへん魅力的な土地活用方法といえるでしょう。
賃貸併用住宅のメリットは以下のとおりです。
自宅の土地に家一軒を建築する経営方法であるため、住宅ローンが利用できます。 さらに低金利で利用できるのが大きなメリットです。 また、ローン返済があっても、賃貸すれば家一軒分の家賃収入でまかなえる点もおすすめといえるでしょう。 建物自体の活用方法も多様で、顧客が退去しても賃貸部分を二世帯住宅などに活用できます。ライフステージに合わせて住み方や住む人を変えられるので、無駄がありません。
賃貸併用住宅のデメリットは以下のとおりです。
賃貸併用住宅にはオーナーと入居者が住むため、設計によってはプライバシーの問題に関わることがあります。 「動線が分かれていない」「活動する時間帯が異なる」「騒音がある」といったさまざまな要素によって、トラブルに発展する可能性があるでしょう。 そのため「動線を分ける」「目隠しをする」「遮音性を高める」などの配慮が必要です。
また、住宅ローンを一括返済しなければならないことがある点には注意しましょう。 賃貸併用住宅にローンを利用できる理由は、あくまで「自宅を建築する」という前提があるからです。 引っ越しで住まいを変えようとすると、規約違反とみなされローンの一括返済を求められることがあるため、一度住んだら完済できるまで引っ越しを考えない方がよいでしょう。
管理の面では家一軒しかないことから楽にできると思われがちですが、入居者からの問い合わせやクレーム対応は意外に大変なものです。 住居が同じだとトラブル後に気まずくなることがあり、何かと手間がかかると思うこともあるでしょう。 賃貸併用住宅は特殊な用途であるため需要が高いとはいえず、購入希望者が見つけづらいデメリットもあります。手放そうと思ってもなかなか売れないことがあるため、需要の低さは知っておく必要があります。
アパート経営と同様に、通勤・通学・買い物・通院などしやすく便利で、都心にアクセスしやすい土地がよいでしょう。
小規模住宅用地の特例が適用され、相続税や固定資産税の節税が可能です。 節税対策を強く望む方は、賃貸併用住宅がおすすめといえるでしょう。
戸建賃貸は一戸建てを建築し、第三者に賃貸して家賃収入を得るものです。 アパートやマンション経営と同様に、建築してから賃貸する流れですが、戸建てできる数が決して多くはないため、需要が高いといえます。 戸建てに住みたいと考えているファミリー層に人気です。
戸建賃貸のメリットは以下のとおりです。
戸建賃貸は希少性が高いため、ニーズのある土地ではじめれば入居者を確保しやすいメリットがあります。一戸建てへあこがれて、賃貸から購入を希望する場合もあり、売却しやすいことも。 さまざまな土地にも対応しやすいだけでなく、アパートやマンションと比較し建築費用をおさえられるため、低資金でも取り組みやすいといえるでしょう。
戸建賃貸のデメリットは以下のとおりです。
戸建賃貸では修繕費・維持管理費などのランニングコストが高くなる傾向です。ファミリー層向けの住宅は、部屋の数が多いうえに居住年数が長くなりやすいため、定期的なメンテナンスが必要になります。 また、一軒しかないため、空室が発生した時点で収入が0になってしまう点に注意しましょう。
アパートやマンションと同様に、生活に便利な土地がよいでしょう。顧客はファミリー層が多いため、治安の良さも重視されます。騒音や風俗店が多い土地は不向きでしょう。
アパート経営と同様に、相続税や固定資産税・都市計画税の節税が可能です。
土地を有効活用するならば、初期投資を安く抑えたいと思う方は多いでしょう。 以下で、初期投資を抑えて土地を有効活用する方法を3つ紹介します。
コインパーキング経営は必要な設備が少ないため、初期費用を抑えてできる土地活用方法のひとつとされています。 コインパーキングの代表的な設備には以下のものがあります。
費用を抑えるためには、これらの数を減らしたり中古品・リースを利用したりするとよいでしょう。 また、一括借り上げ方式を利用すれば、コインパーキング運営を専門の会社に委託でき、初期費用をかけずに経営を始められます。 すべて自営で行う場合と比べれば収入は下がりますが、わずらわしい管理は不要です。 土地を所有している方は、一括借り上げ方式でのコインパーキング経営を検討してみてください。
貸地とは、土地を第三者に貸し、建物を建築してもらう土地活用方法です。 所有者は土地を貸し出すだけのため、初期費用が発生しません。 借主は以下のようなものを建築できます。
あるいは資材置き場として活用することもあり、さまざまなニーズがあります。 貸地の特徴は、建築費を負担せず土地の収益化が可能になる点です。 一方で収益性はあまり高いとはいえません。
しかし所有しているだけで活用していないのならば、ただ固定資産税が負担になるばかりです。税負担が嫌ならば、貸地で固定資産税分の収益だけでも得ておくとよいでしょう。注意点として、契約すると自分の都合では返してもらえないデメリットがあります。始める場合は、長期的になることを押さえておきましょう。
等価交換とは、所有している土地を第三者に提供し、そこにマンションなどを建築してもらい、提供した土地の価値に見合う分の区分所有権をもらう方法です。 土地の所有者は建築費をかけずにマンションの一部を得られる点がメリットです。 等価交換の具体例は以下のようになります。
得た建物分はオーナーが居住したり、賃貸したりすることも可能です。 管理会社へ管理を委託すれば、不労収入も得られます。 注意点として、土地の所有割合が1/4になってしまうことを覚えておきましょう。
土地活用方法5選について解説してきました。 しかし、いざ土地活用しようと思っても、以下3つの注意点を参考に選ばないと失敗してしまう可能性があります。 長期的に経営していくうえで非常に大切なことですので、ご確認いただければ幸いです。
土地には個性があります。 個性とは「立地条件」「法規制(建築基準法や都市計画法など)」「土地の形状や面積」など。 冒頭でもお伝えしましたが、土地活用では用途地域によって建築できる建物の種類が異なります。 そのため、まずは所有する土地でどんな建物が建築できるかの把握が必要です。
把握できたら「建物の用途」「規模」「グレード」などを管理会社に相談し、アドバイスを受けることをおすすめします。 その際、ひとつではなく複数のプランを提示してもらいましょう。 比較検討できれば、管理の手間や収益性の高さなど、さまざまな条件から最適な土地活用方法が選択できます。 結果として失敗する可能性を減らせるでしょう。
別記事で、コインパーキングの経営に向いている土地のポイントについて解説しています。
コインパーキング経営をお考えの方はこちらもぜひご覧ください。
コインパーキング向きの土地は?コインパーキングの土地の探し方も解説!
長期的な収益性を見て選ぶことも大切です。 というのも、初期投資をできるだけ抑えることに固執してしまうと、長期的にはコストパフォーマンスが悪くなるからです。 たとえば、建物のグレードを大きく下げたり、設備投資をおろそかにしたりすると、賃料設定を安くせざるを得なくなり、収入が減ってしまいます。また、屋根や外壁などにしっかり初期投資しないと、頻繁にメンテナンスが必要となり、修繕費などの支出が膨らむ可能性があります。 そのため「何年後にどれくらいの収益を得たいのか?」という収益目標を詳細に立てておくことが必要です。
とはいえ、自分で計画をすべて立てるのはむずかしいと思う方もいるかもしれません。 管理会社などを利用して相談にのってもらい、長期的な視点でのアドバイスを求めるとよいでしょう。
自分に合った経営方法を選ぶことも大切です。 経営方法にはいろいろあり、自分に合わないものを選んでしまうと管理状態が悪くなるからです。 管理方法には自営方式や一括借り上げ方式などがあります。 自営ではすべて自分でできるため自由度が高く、経費も節約しやすいものの、管理・集客・メンテナンスなど、やらなければなりません。
一方で一括借り上げ方式では、一連の業務をすべて委託でき、負担を大きく軽減できるものの、収入は自営よりも少なくなります。 経営方法にはそれぞれ一長一短がありますので「本業に支障がないか」「経営する時間的な余裕があるか」などによって選ぶべき方法が異なります。 収益計画やご自身の状況に応じて最適な方法を選んでください。
本記事では、土地活用方法5種類について、メリット・デメリット、向いている土地、節税効果などを解説しました。 土地活用では、用途地域によって建築できる建物の種類や規模が異なります。 そのため、まずは所有する土地の用途地域を確認しましょう。 そのうえで、長期的な収支計画を立ててご自身にあった経営方法で土地活用方法を選んでください。管理の面で不安があれば、管理会社に相談し、適切なアドバイスをうけることをおすすめします。
当サイトでは、コインパーキング経営の業者ランキングをご紹介しています。 コインパーキング経営を業者に委託してみたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。