駐車場経営に興味があるけれど、法人化するのってどうなの……? そのような悩みを抱えている方もいるでしょう。
本記事では、駐車場経営の法人化について、メリットデメリットを混じえながら解説していきます。
駐車場経営を始めようと思っている方は、ぜひ参考にしてください!
あなたにとってベストな経営方式が見つかると思います。
目次
駐車場経営の法人化は、個人ではなく法人(株式会社または合同会社)として事業を設立したタイミングですることができます。 個人事業主が駐車場経営をしている場合、利益に対して課せられる税金は個人所得税のため、利益が上がれば上がるほど税率も上がります。
そのため、個人事業主として一定の利益を安定して出せている場合、法人を設立した際、税金面での節税効果が期待でき、税制上有利になることもあるため、法人化することを検討するには良いタイミングです。
では、ここからは駐車場経営で法人化するメリットを見ていきましょう。
ここでは、以下5つのメリットを解説します。
それぞれ順番に解説します。
法人化することによって、自分自身に功績倍率や勤続年数に基づいて算出された退職金を支給することができます。 給与や役員報酬を受け取る時は総合課税といった税金がかかります。
しかし、退職金には退職所得という特別な控除がされます。そのため、退職金には税金が安く設定されることになります。 退職所得は以下の方法で算出できます。
(退職金−退職所得税控除額)×1/2=退職所得
また社会保険が利用できることによって、福利厚生の充実、国民年金以上の年金給付額の増加、所得から課税されることによる節税対策にもつながります。 そういう意味でも、法人化する何よりの最大のメリットは利用できる退職金制度や社会保険制度などといえるでしょう。
法人化することによって、経費として計上できる範囲が大きくなります。
個人事業主である場合、生命保険料は生命保険料控除が受けられるのみで、経費にはなりません。
一方で、法人化した場合は生命保険料を一定割合、経費として計上することができます。
また、役員社宅として賃貸住宅の家賃を経費計上することもできます。 社会保険料の負担が軽減されるため、節税効果にもつながります。 そのため、個人事業主では経費として計上できなかったものが法人化することによって計上できるといったように、経費の範囲が広がります。
別記事で、駐車場経営の経費と確定申告の方法や流れを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
個人事業主として駐車場経営を行う場合、相続時に土地の評価額が大きく変動していた場合は多額の税金が徴収されることになります。
しかし、土地を法人に譲渡すれば株式になります。 株式にすることで遺族への分割がしやすくなるという利点につながるのです。 法人化することによって資産の分割もしやすくなり、これは相続税対策にもつながります。
青色申告している個人事業主は、1年間の事業活動赤字や損失が生じた場合、以後3年間しか繰り越すことができません。 一方、法人化した場合、1年間の税務上の損失を計上したら以後10年間、欠損金を繰り越すことができます。 平成27年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する事業において欠損金繰り越しを10年間延長に変更されました。
このように個人事業主と法人化した場合だと、繰越期間が7年の差があり、両者の繰越欠損金の繰越期間は大きく異なります。 個人事業主は、短い繰り越しのため損失を控除できない可能性もあります。
そのため、長期的な事業を計画している場合には、法人化によってリスクを少なくすることも法人化する最大のメリットのひとつとして挙げられるでしょう。
個人事業主と法人化の大きな違いは信用度が変わることです。
個人事業主の場合、任せられる仕事にはどうしても限りがあります。 責任感が強く仕事ができる人であっても、個人事業主より信用性が高く、しっかり会社という名で取引ができる法人との取引を優先されてしまうことは多いです。
そのため、今まで取引できなかった場合は代理店やマネジメント会社が間に入るなど間接的なやりとりしかできないケースも想定されますが、法人化することで企業と直接やりとりすることも増えるようになります。 仕事の量が増えたり、大きな仕事の依頼が来たりすることで、自分の中で責任感が大きく持てるようになるでしょう。
次は、駐車場経営で法人化するデメリットも紹介します。 ここで挙げるデメリットは以下の3つです。
それぞれ簡単に解説していきます。
法人設立に伴い、初期費用としてかかるお金が個人事業主より多いです。
設立の流れは以下のとおり。
はじめに、司法書士に設立の手続きを依頼するのが基本的です。
その際かかる費用は、司法報酬、登録免許税、定款認証費用があり、合わせて30万円ほどかかります。法人化設立後にも、税務署への書類作成や決算申告などさまざまな書類を提出しなければなりません。
そのため、顧問税理士に払う月々の顧問料や決算申告費用も必要になります。
年間で合計70万円ほどを検討しておく必要があるでしょう。 個人事業主では、かからない費用が法人化することによって、設立時や維持にお金がかかってしまうのがデメリットのひとつになります。
法人設立すると、毎朝の決算を会計帳簿につける手間が増えます。 個人事業主の時にはなかった小口現金や借入金の扱いなどの作業があるため、会計処理が複雑になります。
そのため、こなそうとすれば時間がとられ、作業を委託しようとすれば人件費がかさむためこれもデメリットといえるでしょう。
株式会社の役員の任期が満了した際、役員変更の登録をする必要があるため、手間がかかります。
また、役員の任期が満了した場合でも再任された際は、役員登記が必要になるため、手間と費用がかかってしまいます。
ここまで、駐車場経営のメリットとデメリットを解説してきましたが、ここからは実際に法人化するフローを紹介していきます。 主な流れは以下の3ステップに分けられます。
それぞれ解説していきます。
まず、法人の種類を選びます。 主に株式会社または合同会社の2つになります。
選定が終われば設立手続きを行い、設立登記申請をしましょう。
はじめに定款の作成、次に定款の認証、そして資本金の払込み、最後に法人印の作成といった順で手続きを進めていきます。 すべてが揃い次第、法務局で登記の申請を行いましょう。
はじめに、運営会社や不動産会社に法人化することを伝えます。
この2つの会社は上記に記載した相続時の資産の分割が変わってきます。 合同会社は株式会社に比べ、株式の分散による相続時のメリットを享受できないという点も考慮して判断しましょう。
運営会社か不動産会社に行くと、解約の覚書と新たな運営委託契約書が手に入ります。 そこに書くべき事項を記入し、契約関係を更生、法人としての契約を行います。
法人化して駐車場を開始するためには複雑でさまざまな手続きがあります。
また、会計についても個人事業主のときには行わなかったこともあるので、不明な点は各専門家に相談することをおすすめします。
節税対策としての駐車場経営だけではもちろん上手くいきません。 駐車場経営はビジネスです。
その認識をしっかりもったうえであれば、手間もそこまでかけずに稼ぐことは充分に可能です。
経営を失敗させないためにも、専門業者に相談して中身のある話し合いを行いましょう。 自分にとっても駐車場運営においてもひとつの成功道につながります。
本記事では、駐車場経営の法人化についてお伝えしました。
駐車場経営の法人化には、事務作業の複雑化や役員選定というデメリットがあります。
その反面、使用できる制度や経費の範囲が増えるというメリットもあり、面白いビジネスです。
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