駐車場経営のための土地購入は必要？メリット・デメリットのポイント

長引く不況、円安による物価高などで将来の生活に不安を持っている方が多いでしょう。駐車場経営は初期費用がそれほどかからず、不労収入となる人気の土地活用のひとつです。その反面、土地を購入してまで駐車場経営をしても確実な利益が得られるのか、と不安を持っている方もおられるでしょう。

そこで、この記事では駐車場経営のための土地購入、駐車場経営のメリット・デメリット、成功のためのコツなどを分かりやすく解説します。駐車場経営を検討している方は、最後まで読んでいただき、ぜひ参考にしてください。

駐車場経営は土地購入した方が良い？

結論から言うと、駐車場経営のために土地を購入することはあまりおすすめできません。駐車場経営は長期的に不労収入となりますが、利益率は低い傾向にあります。駐車場経営は初期投資が少なく始められて、長期的に少しずつ利益を得ていくことが魅力の土地活用法です。初期投資が膨らむと利回りが悪くなってしまうため、利益を確保しづらくなります。

また、土地を購入する場合、銀行融資を考えることが多いでしょうが、駐車場経営は利益が出にくいため、銀行が融資に前向きとは言えません。仮に融資の可能性があるとしても、審査が厳しくなったり、審査に通らなかったりすることも珍しくありません。そのため、融資が受けられないことも想定した資金計画が必要となり、ハードルが高くなります。

しかし、条件によっては高い利回りが期待できる場合もあるのです。たとえば、相応の面積があり、道路に面した間口の広い土地などは駐車場に向いています。さらに、大型商業施設やオフィス街、駐車場がない店舗や住宅が集まる場所に近いなど、立地条件が良い場合には高い利回りが期待できます。

基本的には土地購入による駐車場経営はあまりおすすめできませんが、好条件がそろっているのであれば、成功する可能性が高まると言えるでしょう。

駐車場経営で向いている土地

前述したように、駐車場に適した土地とは高い利回りが期待できる土地です。すなわち、繁華街、大型商業施設、住宅地、大病院周辺などで駐車場の需要が高く、土地に面している道路の幅があり、間口が広く車の出入りがしやすい土地です。周辺地域の車の通行量や駐車場の有無も大きく影響します。

また、関東地方の場合、都心から少し離れていて交通の便が良い地域もねらい目となります。都心は駐車場の需要は高いものの、固定資産税が高すぎて駐車場経営に適しているとは言えません。都心から少し離れた神奈川県、埼玉県などが適していると言えるでしょう。

地方都市であれば、たとえば県庁所在地で固定資産税がさほど高くなく、駐車場の需要が多い地域や観光地などの人が集まる場所であれば、都市の中心部や近郊であっても利益が見込める地域もあります。

駐車場経営で向いていない土地

駐車場経営に選んではいけない土地は、前項の条件を満たさない土地ですが、さらに付け加えると、車の通行量が少ない場所や学生街、周辺に建物がない場所などです。こういった場所は駐車場の需要が少ない場所と言えます。

また、周囲に大型駐車場やコインパーキングがある場合は、駐車場経営のリスクが高いと言えるでしょう。競合となる駐車場が多くあると料金競争に陥る可能性がありますし、より条件の良い駐車場に顧客が流れてしまう可能性があります。

周囲の状況などから、駐車場の需要が高い場所か低い場所かを見極めることが大切です。

駐車場経営の種類

駐車場の種類としては、月極駐車場、コインパーキングの2種類があります。同じ駐車場経営でも駐車場の形態が異なれば、初期費用や管理運営方法も大きく違います。当然成功するためのコツや力を注ぐポイントも違ってくるでしょう。

また、経営方法は管理委託方式、一括借上方式、自主運営方式の3種類があります。

①管理委託方式
オーナーの事業計画や運営方針をもとに、業者に運営のみを委託する方法です。オーナーは収益にかかわらず、売上の一定割合を委託業者に支払うことになります。土地の整備や初期費用はオーナー負担となるため、事前の準備が重要となります。

②一括借上方式
業者が作成する事業計画をもとに、運営も業者に任せるタイプの経営方法です。オーナーは土地を貸すだけのサブリースといった方法で駐車場経営を行います。コインパーキングはこの形態である場合が多く、駐車の状況にかかわらず一定の利益があることが大きな特徴です。

③自主運営方式
駐車場経営、運営をすべてオーナー自身で行う方式です。手間や労力がかかる分、委託費用などを支払う必要がないため、利益のすべてをオーナーが得られる点が最大の魅力と言えます。すべてをオーナー自身で行う必要があり、成功のカギはオーナーの経営手腕にかかってくるため、初心者にはあまり向いていない経営方法です。

駐車場経営のメリット

駐車場経営は土地活用のひとつの方法ですが、メリットは次の通りです。

メリット1　初期費用がかからない
駐車場経営はマンションやアパートなどの不動産経営と比較すると、初期費用が圧倒的に少ないことが最大の魅力です。経営の形態により実際の費用は変動しますが、初期投資の平均はおよそ200万円～500万円程度です。一括借上方式などの場合は、この初期投資が必要ないこともあります。

メリット2　災害時のリスクが低い
駐車場経営は建物などが必要ないため、災害時の損害に対するリスクが低いと言えます。仮に損害があったとしても設備などの機材だけになるので、数十万円程度を見込んでおけば良いでしょう。自然災害の多い日本では、予期せぬリスクに強いのが大きなメリットです。

メリット3　小さな土地の活用ができる
建物を建てられないような小さな土地であっても駐車場としてならば活用できる点も、他にはない魅力のひとつです。たとえば、繁華街などの狭小地や変形地などは価値のないものと考えがちですが、しかし、最低でも2台分の駐車スペースが確保できたら、駐車場としての価値が高くなります。

駐車場経営のデメリット

メリットだけではなく、デメリットやリスクについても理解しておくことが大切です。

デメリット1　税金の負担が重い
駐車場は建物がないため税金負担が軽いように感じられますが、更地の評価を受けるため、税制の優遇措置が受けられません。特に固定資産税などは、優遇措置がないため課税率が高くなってしまいます。事前に国税・地方税について確認し、事業計画にしっかりと盛り込んでいくことが大切です。

デメリット2　高収益にはつながりにくい
駐車場経営はローリスク・ローリターンであるのが一般的です。他の土地活用法と比較しても利益が少ない活用方法と言えます。長期的に経営を継続していくことで利益を得られる場合が多く、短期間で高収益をあげることは難しいでしょう。短期間で高収益を期待する方には向いていない活用方法と言えます。

デメリット3　土地の利用効率が低い
一般的に駐車場経営は土地の1階部分しか使用できません。アパートやマンション経営と比較すると、土地の利用効率は圧倒的に低くなります。立体駐車場であれば複数階を使用できますが、投資費用との関係がありますし、またマンション経営の利用効率に勝ることはできません。

駐車場経営を成功するためのコツ

駐車場経営を成功させるためには戦略的な事業計画と入念な事前準備が必要となってきます。そのポイントを見ていきましょう。

コツ1　実績と経験のある業者に相談する
オーナー自身がすべてを行う自主運営方式以外の経営方法を選ぶ場合は、実績と経験があり信頼のおける業者を選ぶことが成功のカギを握っています。業者に管理と運営を任せるということは、ビジネスパートナーを選ぶくらい重要なことであると言えます。 オーナーも駐車場経営について学ぶことは必須ですが、実績・知識・経験に裏打ちされ、業界にも精通している専門家がパートナーでないことには駐車場経営の成功は期待できません。複数業者のプランから、自分に最も適した業者を見極めましょう。

別記事で、コインパーキング経営における業者を選ぶポイントと注意点を詳しく解説していますのであわせてご覧ください。

コツ2　駐車場事情を調査する
専門的な調査は業者に任せるとしても、オーナーとして駐車場にしたい地域周辺の駐車場の状況を調べることは必要です。料金設定、駐車場の形式、入出庫の状況などを自分の足で歩いて調べると、その地域の駐車場の需要を知ることができます。 それと同時に、周辺の車の通行量、道路事情、建設中の大型施設の有無などの情報も自分の目で確認しておけば、最終的な判断の際に役立つ情報となります。

コツ3　立地条件の良い土地を選ぶ
土地を選ぶ際は、駐車場として有効に活用できる立地条件であるものに注目しましょう。大型商業施設、オフィスエリア、人口密集地、郊外の大型住宅エリアなどから候補地を選び、リストアップしていくと一覧性があり、比較しやすくなるのでおすすめです。 また、利回りをよくするためには初期費用である土地代が大きなポイントです。可能な限り安価な土地を探すことが、固定資産税などの税金面でも有利に導いてくれます。初期投資の土地代を抑えることができれば、利益率アップにもつながります。

まとめ

いかがだったでしょうか。駐車場経営のための土地購入は必須ではありません。しかし、経営をスタートさせてからの利回りのシミュレーションを確実に行い利益が見込まれるのであれば、立地条件を十分に考慮したうえで、土地購入を検討しても良いでしょう。

駐車場経営にはその形態に応じた戦略的な事業計画が必要となってきます。駐車場経営では、土地の立地条件が成功のカギを握っています。駐車場経営のメリット・デメリットを理解し、立地条件の少しでも良い土地を選ぶことに力を注いでください。

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