コインパーキングを経営していて起こりうる事故や料金などのトラブルとは

コインパーキング経営のトラブルについて

コインパーキングの経営は「毎日何事もなく、お金が入っている」というほど甘いものではありません。設備の不具合などは点検などである程度防ぐこともできますが、どうしても防ぐことができないのが想定外のトラブルあります。その対策として過去に起こったトラブルの実例をみておきましょう。

コインパーキング経営のトラブルについて

お客様が料金を誤解して抗議するトラブル

コインパーキングの料金体系は1時間100円のもの、30分100円もの、最大料金があるものなどさまざまです。空車が目立つ時間帯は最大料金が適用され安く駐車できますが、土日などの繁忙期は駐車料金が高めに設定されているところもあります。 お客様に利用してもらいたいと安さをアピールする看板を立てているのですが、割安な料金で利用できると誤解したまま駐車し、支払いの段階で料金の違いに気づいて経営する側に抗議してくるお客様もいます。 もちろんお客様にはきちんと料金を確認したうえでコインパーキングを利用する必要がありますが、経営する側にも改善の余地はあります。割安な料金だけを大きく料金表に書くのではなく、車が入ってきた時に適用される料金体系が運転しながらでも確認できるように表示の仕方を工夫することも大切です。

コインパーキング内の事故トラブル

車や人の出入りが激しいコインパーキングで、設備への接触事故や人身事故が起きることがあります。 実際に事故が起きた場合、オーナーはどのように対応したらよいのでしょうか。経営を管理会社に任せている場合、基本的には管理会社がすべて対応します。ただし設備の破損などの修理費はオーナーが支払うこともあるので、この場合のため専用の保険に入っておくと安心です。 自己管理の場合は、全てオーナーが対応しなければなりません。設備の破損に関しては、その費用をオーナー自身が負担することになります。しかし、それで終わればよいのですが、コインパーキング内での盗難や利用者同士のトラブルといったこともあることを想定しておく必要があります。 コインパーキング内の看板には「駐車場内でのトラブルの責任はとれません」といった内容のことが書かれていることが一般的です。しかし、実際にはオーナーにも管理者として正しく管理した上で起きたトラブルかどうかという「善管注意義務」というものが発生することがあります。コインパーキングのトラブルはさまざまなケースがありますが、自分がどこまで対応できるかを念頭に置いたうえで、管理会社に委託するか自分で管理するのか考える必要があります。

生活ゴミや粗大ゴミなどのトラブル

コインパーキングはほとんどが無人で運営されているため、監視の目は行き届きません。そのため空き缶やペットボトル、家庭ゴミや吸い殻、ひどい場合には粗大ゴミなど、さまざまなゴミを放置されてしまうことが少なくありません。 そのゴミをそのまま放置しておくと、捨てやすい環境になりゴミが増えていく恐れもあります。さらに悪臭の発生や景観の悪化などで近隣の方とのトラブルになる可能性もあります。 コインパーキング内や周辺でゴミを見つけた場合には速やかに回収することが大切です。 敷地内だけをきれいにするのではなく、前の歩道や側溝などの掃除まで行き届いていると、好感を持たれ、売り上げにもよい影響が出てきます。

間違えて別の駐車スペースを精算してしまうトラブル

コインパーキングで頻繁に起こるトラブルとして「駐車スペースの番号を見間違えて別の車の駐車料金を支払ってしまう」ということがあります。 これは支払い前にきちんと駐車番号を確認していないお客様の過失ではありますが、中には「表示が見にくいのが原因だ、全額返金してほしい」とクレームがあることもあります。 このようなクレームを回避する方法として、駐車番号を精算機から見やすい位置に記載したり、精算機のところに駐車場の見取り図と駐車番号を記載した案内板を取り付ける方法があります。 経営という面では経費を節約することは重要ですが、少し費用がかかったとしてもトラブルを回避することができるのなら安いものです。

不正駐車によるトラブル

コインパーキングは無人で運営することが多いため、不正駐車によるトラブルが起こりやすいです。 車を長期間放置されてしまった場合は、レッカー移動による車両の撤去手配や法的処置も行わなければなりません。残念ながら、不正に駐車されていた期間の駐車料金は支払われないので、費用と手間だけがかかることに。経営者としては堪りませんよね。 そのほかにも、駐車スペース以外の場所に車を停めていたり、ロック版を乗り越えて料金を支払わずに無断利用したりするケースなどがあります。 不正駐車は違法のため、請求することが可能です。防犯カメラを設置するなどして、不正利用者を特定できるように対策することが大事です。

クレームによるトラブル

近隣住民からのクレームトラブルもよく耳にします。 特にコインパーキングが住宅街に位置する場合は、要注意です。利用客のマナーに関する問い合わせだけでなく、駐車場の設備機械に関するクレームもあるかもしれません。 例えば、看板や照明に対するクレームです。コインパーキングは「空車」や「満車」などをわかりやすく示すために、遠くからでも確認しやすいよう照明を明るくして看板を設置します。しかし、「照明の光が明るすぎて夜眠れない」「閑静な住宅地に不釣り合いだ」といったクレームにつながるかもしれません。 また、排気ガスやエンジン音に対するクレームも多いです。排気ガスは、人体に有害な影響を及ぼします。小さなお子さまや年配の方がご家族にいる場合は、排気ガスの匂いによる影響を心配する方もいるでしょう。ほかにも、夜中のエンジン音や利用客の話し声がうるさいといった苦情が出るケースもあります。 こうした近隣住民とのトラブルは、管理不足が問題です。定期的な見回りや住民の方たちへの配慮を行い、クレームに対応できるようにしましょう。

設備故障によるトラブル

コインパーキングは、清算や入出庫管理を機械で行うことが一般的です。 月極駐車場と比べて管理が簡単と思われがちですが、機械が故障してしまうと大きなトラブルに陥ってしまいます。よく耳にする設備故障は「精算機の故障」「ゲートが動かない」「フラップ版が上ったままで車を出せない」などです。設備故障はそのたびに対応する必要があるので、意外と経営者の手間とコストがかかります。 こうしたトラブルを防ぐためには、定期的な設備機器のメンテナンスが必要です。個人経営の場合は専門業者に点検依頼をすることが多いですが、コストを削減しようと依頼を怠ってしまいがちです。 お客様に気持ちよく利用してもらうためにも、定期的な設備メンテナンスを行いましょう。

コインパーキング業者とのトラブル

コインパーキング会社と契約を結び、土地を貸して賃料を受け取る「委託運営」でもトラブルは起こりやすいです。 コインパーキングの運営方法で最も多いのが、こうした「一括借り上げ式」と言われています。一括借り上げ式は、経営者は業者へ土地を貸すのみなので直接トラブルに対応することはありません。しかし、業者へ委託するがゆえに管理体制が把握しづらいデメリットがあります。 例えば、管理業務が不十分であることが挙げられます。清掃が行き届いていなかったり、精算機や照明、フェンスの破損を放置していたりするなど管理体制が雑であると利用客は離れていってしまいます。 そうした運営管理が雑な業者の場合、契約満了後も注意が必要です。ゴミの投棄や機材故障をそのままの状態にして撤収する可能性があります。 運営管理を丁寧に行ってもらうためにも、コインパーキング業者の実績や信頼性を事前にリサーチすることが重要でしょう。

駐車券紛失のトラブル

利用客が駐車券を紛失してしまうことで、トラブルになることもあります。 一般的なコインパーキングはゲート式のため、駐車券がなければ正確な入庫時間がわかりません。そのため実際の請求金額がわからず、コインパーキング側と利用客の間で金銭トラブルに発展してしまいます。 駐車券の紛失は利用客の過失ですが、事前に無くさないように注意喚起を行っても改善は難しいでしょう。また、紛失時は最大料金を請求するコインパーキングも多いですが、「数時間の駐車なのに、駐車券がないだけで最大料金も支払いたくない」とクレームを入れる利用客も少なくありません。 金銭のトラブルは事前に明確なルールを設定することでトラブルになりにくいです。例えば入り口付近の看板に「駐車券を紛失した場合は○○円」と明記するなどして対策を練ってみてはいかがでしょうか。

機械の故障トラブル

機械が故障してしまうと、利用客は駐車場から出ることができず、クレーム問題につながります。 故障内容は、精算機からお釣りが出なかったり、料金を支払ったのにフラップ版が上がらなかったり、ゲートが開かなかったりするなどのトラブルが挙げられます。 機械の故障トラブルは、定期的なメンテナンスによって防ぐことができます。日頃から点検作業あるいは業者へ委託して巡回業務をするなどの対策をしてみてください。

コインパーキング経営のトラブル事例と対処法

コインパーキング経営は、初期費用も低くビルやマンションなどの管理に比べて手軽なことから始めやすい土地活用法です。しかし、個人で運営管理を行うとなると、これまでにご紹介してきた料金トラブルやクレームによるトラブルなど全てを対処しなければなりません。 ここからは、コインパーキング経営においてよくあるトラブル事例とその対処法をご紹介します。

トラブル事例対処法
料金トラブル・看板に大きな文字で金額を表示する ・わかりやすく明確な料金設定
駐車場内での事故トラブル・「トラブルには対応しない」と事前に明記する ・利用者が停めやすいレイアウトを考える
近隣住民からのクレーム・クレームを受け取ったら迅速に対応する ・定期的な巡回を行い、周辺に影響を及ぼす不備がないか確認をする
利用客による過失によるトラブル・起こり得るトラブルに対する規約を制定する ・防犯カメラを設置する

過去の事例を学び、トラブルが起きる前に対策を取ることが大事

月極駐車場にはロック板や精算機などの設備はありません。 ところがコインパーキングにはさまざまな設備があり、利用客は不特定多数ともいえます。一般にコインパーキングは人通りや車の通行量も多い所にあります。それゆえ月極駐車場よりコインパーキングの方が事故などのトラブルの発生する割合は高くなります。大事なのは設備の改善でトラブルを最小限に食い止められるようオーナー側も努力する必要があるいうことです。 過去に起こったトラブルはここで取り上げた内容だけではありません。しかしこれらの実例をケーススタディし、起こった場合の対応の仕方をイメージしておくだけでもトラブルは小さくなることにつながります。