コインパーキング経営で発生する税金の種類と節税方法

コインパーキング経営を検討されている方のなかには、コインパーキング経営で発生する税金についてよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

 

そこでこの記事では、コインパーキング経営をする際にかかる税金の種類や節税方法を紹介します。

これからコインパーキング経営を始めようとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

コインパーキング経営をする際にかかる税金の種類

 

コインパーキング経営を実施していくなかで発生する主な税金の種類は、固定資産税と都市計画税です。

以下に、それぞれの税金の詳細を解説します。

固定資産税

固定資産税とはその年の1月1日時点で土地や建物、償却資産を所有している人に対して課税される税金です。
また償却資産に関する固定資産税は、別に償却資産税と呼称されることがありますので後述します。

コインパーキング経営をしている土地に対して税金がかかってきます。
自分の土地に対して固定資産税がどのくらい課税されているのかどうかを確認してみましょう。

関連記事:コインパーキング経営で固定資産税はどれくらいかかる?

都市計画税

都市計画税とは、市街化区域内の土地や建物に自治体が課すことができる税金です。

コインパーキング経営では、時と場合によって都市計画税が課されます。

 

そのため、税金を支払う必要があるかどうかは、土地が所在する市区町村で確認しておきましょう。

都市計画税の支払いが必要な場合、税額は「課税標準額×~3%」で求められます。

税率は市長区村によって異なりますが、最高で3%です。

消費税

コインパーキングの消費税は非課税になる場合と課税になる場合があるため注意が必要になります。
原則として土地を貸す場合、地代に消費税は課されません。

しかし非課税対象は純粋な土地の貸し出しに限ります。
土地所有者がコインパーキングとしての設備を整備したうえで、業者に土地を貸し出す場合消費税が加算されます。

また、消費税の特例として売上が1,000万円を超えていない場合は免税事業者になるため、消費税の申告と納税は必要ありません。
そのため、コインパーキング利用料が1年間で1000万円を下回る場合、消費税を収める必要がありません。

相続税

コインパーキング経営をしている人が亡くなり、その土地を相続するときには相続税が発生します。
相続税に関してはコインパーキングの土地だけでなく被相続人の財産すべてに課税がされます。

相続により土地を取得した場合には「小規模宅地等の特例」が使えます。
コインパーキングは「小規模宅地等の特例」のうち「貸付事業用宅地」にあたり、200㎡までの土地については土地の課税評価額を50%まで減額できます。

所得税

コインパーキング経営で得た利益については所得税がかかります。
そのためコインパーキング経営をしている人は漏れなく翌年の2月15日から3月15日までに確定申告をしなければいけません。

またコインパーキング経営を始めるときには税務署に開業届と青色申告承認申請書を提出しておきましょう。
青色申告をすることで10万円控除、55万円控除、65万円控除のいずれかを受けられます。 

償却資産税

償却資産税は前述の固定資産税の一種です。
こちらは土地以外の設備課税を指します。
精算機、防犯カメラや隣地とのフェンス等の設置設備資産に毎年課税されます。

個人事業税(※地域による)

個人事業税は地方税の一つで都道府県に対して納付する税金です。
個人事業税の課税対象になるのは法律で定められた70の業種のみです。
そのため個人事業を営んでいるからといって必ずしも納めなければならない税金というわけではありません。

なおコインパーキング経営に関しては個人事業税の第一区分の駐車場業に該当し、税率5%がかかります。
駐車場業の個人事業税には認定基準が設けられています。
寄託を受けて保管行為をおこなう駐車場や建築物・機械式等である駐車場は、駐車可能台数が1台以上(駐車可能代位数を問わない)であれば駐車場業に該当します。
これ以外の駐車場に関しては駐車可能台数が10台以上であれば駐車場業に該当します。

なお、場合によっては駐車場業ではなく、住宅用以外の土地の貸付として不動産貸付業と認定されるケースもあるため注意しましょう。
また、個人事業税は大都市の都市環境の整備や改善の費用に充てるための目的税なので、特定の地域に事業所を構える法人や個人事業主にだけ課税されます。

東京であれば23区と武蔵野市、三鷹市、八王子市、町田市の4市です。地方では札幌市や横浜市、名古屋市、大阪市、福岡市などの政令指定都市や人口30万人以上の地方税法施行令で指定された市で課税されます。

駐車場経営でかかる税金の計算方法

 

ここまで駐車場経営にかかる税金について紹介をしてきました。次に各税金の計算方法についてみていきます。

固定資産税

土地に対しての固定資産税の税額は固定資産税評価額×1.4%で計算できます。
固定資産税評価額とは行政が認定した土地の価格です。評価額は3年おきに更新されます。

固定資産税評価額は毎年4~6月の間に税務署から送付される固定資産税の納税通知書に同封されている課税明細書で確認ができます。
また小規模住宅用地に該当する場合には課税標準額を6分の1にできます。

住宅用地は住宅用家屋(専用住宅、アパートなど)の敷地、住宅用家屋の敷地と一体となっている庭や自家用駐車場と認められる必要があります。

関連記事:コインパーキング経営で固定資産税はどれくらいかかる?

都市計画税

都市計画税は固定資産税評価額×0.3%で税額が計算されます。
なお税率に関しては0.3%が上限なので、市区町村によっては0.3%じゃない場合もありますので注意してください。

また都市計画税を課すかどうかもその地域における都市計画事業等の実態に応じて市町村が自主的判断に委ねられているため、そもそも課税がされないこともあります。

償却資産税

コインパーキングの舗装費や精算機、防犯カメラや隣地とのフェンス設置などといった償却資産に関しては合計150万円までは課税されませんが、150万円を超えると償却資産税が課税されます。
償却資産に該当するかどうかは使用可能期間が1年以上かつ取得価格が10万円を超えるものが対象になります。
この要件に該当しない場合は償却資産にならず、消耗品として購入したその年に経費計上をおこないます。
償却資産税の課税額は償却資産の評価額×1.4%であり、比率は土地の固定資産税と同様です。

しかし償却資産の金額について減価額が適用され年々減額されるので、毎年別途計算が必要です。
なお償却資産に該当するのは、使用可能期間が1年以上かつ取得価格が10万円を超えるものが対象になります。

また、償却資産税は所有償却資産150万円を超えなければ課税されません。
コインパーキングの設備も150万円超えないようできれば償却資産税を節税できます。

消費税

消費税に関しては本則課税と呼ばれる方法と簡易課税と呼ばれる方法の2種類があります。
どちらの方法を選択するかによって消費税の計算方法も違えば、納める税金も変わってきます。

本則課税の場合は、売上としてお客様から預かっている消費税から、コインパーキング経営をするために支払った経費に対してかかっていた消費税を差し引いた差額を納める必要があります。
なお本則課税で計算する際には固定資産税といった租税公課、減価償却に関しては非課税取引に該当するため、消費税の経費としては差し引くことができません。
そうなると消費税の申告で差し引ける経費はほとんどないため、コインパーキング経営で本則課税を選択するメリットはあまりなく、納める消費税が高くなる傾向にあります。

次に簡易課税の場合には、まず行っている事業によって区分が決められています。
コインパーキング経営の場合では第6種事業に該当します。
簡易課税は売上としてお客様から預かっている消費税から、みなし仕入率にのっとり計算します。
第6種事業のみなし仕入率は40%です。

そのためお客様から預かっている消費税のうち60%を納める必要があります。
それでも本則課税と比較をしたときには簡易課税のほうが有利になるケースが多いです。
まずは、自分の場合は本則課税と簡易課税とどちらのほうがメリットがあるのかを考えたうえで選択すると良いでしょう。 

所得税

所得税を計算するためにはまず事業所得の決算書を作成する必要があります。
決算書は3つで構成されています。

一つは売上、次に必要経費、最後に控除です。コインパーキング経営でかかる経費としては固定資産税といった租税公課に、損害保険料、減価償却費、不動産会社の仲介が入っている場合は仲介手数料、水道光熱費、消耗品といった科目が挙げられるでしょう。
売上から経費を差し引き、最終的には青色申告特別控除を差し引いた金額が所得になります。
決算書を作成したうえで確定申告書を作成して所得税の計算をおこなう必要があります。

確定申告書では事業所得以外に給料収入や年金収入がある場合には合算して計算します。
そのため、もしコインパーキングにも収入がある場合には、源泉徴収票や支払調書といった書類をそろえましょう。

すべての所得を合算したうえで、社会保険料控除や配偶者控除、扶養控除、医療費控除、寄付金控除といった所得控除を差し引き、課税所得を算出します。
なお日本は累進課税制度のため所得が高ければ高いほど税率は高くなっていきます。
課税所得に税率をかけたものが納めるべき所得税になります。

個人事業税

個人事業税は(所得の金額-290万円)×税率で計算がされます。
税率は業種によって違います。コインパーキング経営は駐車場業となるため区分は第一区分となり税率は5%です。
所得がそもそも290万円を超えなければ個人事業税を支払う必要はありません。

所得とは売上から必要経費を差し引いた金額です。
なお所得税や住民税と異なり、個人事業税では青色申告特別控除の対象外となっていますので注意しましょう。

コインパーキング経営でもできる2つの節税方法

 

せっかくコインパーキング経営で得た収入でも、税金の支払いからは逃れられません。

そこで、少しでも節税したいという方に向けて、講じられる節税方法を2つ紹介します。

 

方法①小規模宅地等の特例を受ける

建物がない更地では、建物がある土地の6倍の固定資産税がかかるといわれています。

更地の固定資産税が高くなる理由は、「住宅用地特例」という減税制度が適用されなくなるからです。

 

しかし、相続した土地でコインパーキング経営をする場合に、コインパーキングをアスファルト舗装にすると節税できます。

更地の土地をアスファルトで舗装すると、「小規模宅地等の特例」が適用され、土地の評価額を50%減額できるのです。

 

コインパーキング経営を検討する際には、上記の特例を受けられるかどうかをあらかじめ確認しておきましょう。

 

相続した土地が家屋付きの場合

相続した土地が家屋付きで、家屋は壊さず残りの敷地でコインパーキング経営を始める場合にも、小規模宅地等の特例が適用されることがあります。

その際、敷地が住宅用地かどうかは土地のオーナーではなく市区町村の判断になるため、家屋の形によっては特例が適用されないこともあるため注意しましょう。

 

しかし、住宅用地として認めてもらうために新しく家屋を建てることはあまりおすすめできません。

固定資産税は節税できるものの、結果的に建築費がかさんでコストがかかってしまう可能性が高いため、注意が必要です。

 

方法②青色申告特別控除を受ける

青色申告特別控除を受けることも、節税方法の1つです。

なお、青色申告特別控除とは、一定の条件を満たすことで最大65万円を所得から控除できる制度です。

 

コインパーキング経営で青色申告特別控除を適用させるためにはいくつかの条件がありますが、適用されると最高で65万円の控除を受けられます。

適用条件は以下のとおりです。

 

【コインパーキング経営で青色申告特別控除が適用される条件】

  1. 事業で得た収入が雑所得として区分されていないこと
  2. 不動産所得に区分されている場合は事業的規模と認められていること
  3. 仕訳帳や総勘定元帳を電子計算によって作成すること
  4. 確定申告書や損益計算書などをe-Taxを使用して提出すること

 

まず、雑所得とは利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のどれにも該当しない所得のことです。

雑所得では青色申告が認められていないので、前提として控除は受けられません。

 

また、コインパーキング経営で得た収入が不動産所得として区分されているものの、2.の条件を満たしていない場合は10万円の控除となります。

そして、2.の条件を満たしているものの、3.と4.の条件を満たしていないという場合の控除額は55万円です。

事業所得として扱われている場合は、3.と4.の条件を満たすことで65万円の控除が受けられます。

一括償却資産

前述の償却資産の項目で触れた減価額に関連して、減価償却の計算をする時につかえる特例がいくつかあります。
その一つとして一括償却資産制度というものがあります。
一括償却資産制度は取得価格が20万円未満の償却資産の場合に使うことができます。

なお国外リース資産やリース資産は一括償却資産には該当しないので注意しましょう。
本来であれば減価償却する必要のある資産は法定耐用年数が決まっており、その耐用年数に応じて毎年減価償却として経費計上をすることで資産の価値を少しずつ下げていきます。
一括償却資産制度を使った場合は法定耐用年数にかかわらず3年で償却ができるようになります。

法定耐用年数により早く償却ができるということは1年当たりの経費計上が大きくなるとともに資産の価値の低下も早くできます。

コインパーキングの経営で確定申告が必要なケース

 

コインパーキングの経営で確定申告が必要なケースは、「コインパーキングの経営で年収20万円を超えるケース」です。

 

基本的に、コインパーキング経営に限らず、何らかの事業を行っている方は、年収が20万円を超えたら確定申告が必要。

稀に不要なケースもありますが、思わぬ脱税を避けるために確定申告をしておくと安心です。

 

また、コインパーキングの経営以外に給与などの収入がある場合は注意が必要です。

別の収入と合わせて年間20万円を超える場合は、仮にコインパーキングの経営で年収20万円に満たなくても深刻する必要があります。

コインパーキング経営で考えられる7つのリスクと対策法

 

ここまでで、コインパーキング経営で発生する税金の種類と節税方法について解説致しました。

 

コインパーキングを経営するにあったて知っておきたいリスクがあります。税金面に関するトラブルももちろん考えられますが、他にも知っておきたいポイントがございます。

 

別記事で詳しく解説しておりますので、併せてぜひご覧ください。

コインパーキング経営で考えられる7つのリスクとその対策法

コインパーキング経営で発生する税金は固定資産税と都市計画税

 

いかがでしたでしょうか。

 

コインパーキング経営を行うなかで支払う必要のある主な税金は固定資産税と都市計画税です。

固定資産税は土地だけではなく、精算機や防犯カメラなどの設備に対しても課されることには注意が必要です。

また、コインパーキングを設置する土地の所在によっては都市計画税を支払う義務がないこともあるため、支払う必要があるかどうかは市区町村で事前に確認しておきましょう。

 

 

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